ケミカルアタック
けみかるあたっく Chemical Attackケミカルアタックは、樹脂の近くにシンナーやグリースなどの油が存在したときに、樹脂の強度が1/2から1/10程度まで低下し破壊する現象の通称です。この用語自体は学術用語ではなく、業界用語で、40年以上の昔から使用されていました。
しかし、その原因解析が進むにつれて、非晶性部分の多い樹脂、例えばポリカーボネートや ABSでは油の影響を受けた場合にクレイズやクラックの発生が観察されたりするので、「溶剤クレイズ」や「溶剤クラック」という言葉で呼ばれたり、ポリエチレンのような結晶性樹脂で界面活性剤の影響を受けた場合に脆性的に破壊するので「環境応力割れ」と呼ばれたりしています。
要するに、樹脂の強度が他の物質の影響によって低下してしまう現象を、ケミカルアタックと呼びますが、近年のケミカルアタックの原因解析により、ケミカルアタックのなかにも、細かく分けて「溶剤グレイス」「溶剤クラック」「環境応力割れ」と言った様な呼ばれ方をするものもあるということです。
また、成形事業者は、古くからのケミカルアタックという言葉を使用している場合が多いですが、原因物質となる油や界面活性剤メーカーでは、ケミカルアタックを使用することを嫌って、「ケミカルクラック」と「ストレスクラック」という言葉に分けて使用している場合もあります。この「ケミカルクラック」と「ストレスクラック」という言葉の使い分けは、“射出成形体には成形時の内部応力が蓄積されており、それが化学物質と応力で破壊に至ったときがケミカルクラック”で、“化学物質が存在しないときにはストレスクラック”という言葉を使用します。
上記をまとめただけでも、「ケミカルアタック」を意味する用語として、「溶剤グレイス」「溶剤クラック」「環境応力割れ」「ケミカルクラック」「ストレスクラック」という多くの用語が存在することがわかります。