ムーンライト計画
むーんらいとけいかく Moonlight Projectムーンライト計画とは1978年から1993年度まで実施された日本の省エネルギー技術研究開発プロジェクトの名称です。
日本全土からトイレットペーパーが無くなるような騒動まで発展した、二度にわたるオイルショックの経験から、国はエネルギー転換・利用効率の向上、エネルギー供給システムの安定化、エネルギーの有効利用の各要素に関わる技術開発を目指して、工業技術院により1978年からこのプロジェクトを推進しました。全体で千数百億円規模の国家プロジェクトで、バブル崩壊とともに終了しました。
このムーンライト計画においては、プロジェクトが終了した現在でも批判はありますが、今日振り返ると、このプロジェクトによるイノベーションの効果は1兆円規模を超えると推定されます。成果として燃料電池技術の開発、廃熱利用技術システム、高効率ガスタービンの開発、ヒートポンプの効率向上などがありますが、特に、高効率ガスタービンの技術開発は世界最高水準の熱効率を達成しただけでなく、材料技術に大きなイノベーションを引き起こし、1980年代にファインセラミックスフィーバーに発展しました。さらに、アメリカ発のナノテクノロジーまでもを飲み込み、21世紀初めごろまで発展を続けました。
バブル経済の象徴的プロジェクトと揶揄されることもありますが、トヨタから発売された燃料電池車の技術の素晴らしさを見ると、ムーンライト計画の寄与を理解できます。